サリーアン課題

ASDについて説明をするときに、『心の理論』課題が話題になることがあります。ASDの方は定型さんに比べて、この課題が苦手です。 心の理論課題の一つに、有名な「サリーアン課題」があります。「サリーアン課題」とは、物をしまうサリーと、サリーが知らないところで物を動かすアンのストーリーです。かいつまんでいうと、アンがボールを隠した行動がポイントで、そのアンの行動をサリーは知らないはずなのに、マンガを見ている「私(あなた)」が知っているため、「サリーも当然のごとく知っているだろう」とASDの方は勘違いしてしまうことがあるのです。

サリーアン課題

このサリーアン関係について、ASDの方は理解が難しいと言われています。「サリーはぬいぐるみを出すために、カゴではなく、箱を開ける」と考えています。このASDの方の頭の中では「私(あなた)」とサリーが頭の中で繋がってしまうわけです。「個人の境界が溶けている」という表現をする人もいます。(もちろん、この問題を正解するASDさんもたくさんいますが、その場合も、ASDさんはなんとなくではなく、論理的にこの問題を理解している場合が多いと言われています。大切なのはこの問題が解けるかどうかではなく、このような種類の課題が日常的にASDの方に起こりやすいということです)

ASDさんの立場からすると、「主語(登場人物)がたくさんいる状況では、誰が何を知っており、誰が何を知らないか、あるいはどう感じているかを、自分のなかで処理できなくなる」といったところかもしれません。

発達障がいはよく「目に見えない障がい」などと言われます。定型さん(一般の人)であれば、すぐに理解できる「サリーアン課題」は、「他人の気持ちになれない」「報告書に客観的視点がない」といったASDさんの特性を、逆に「目に見えやすく」してくれます。「誰が何を知っているのか」という認知が低いため、「他人から見た客観的な自分」を把握することができない、いわゆる「自己覚知」ができない状態に陥ります。これにより、他人の言動を勘違いしてとってしまうことになります。
褒められていても、けなされていると感じてしまう。
周りが伝えない、言動・服装・声などの評価がわからない(言動が失礼である・身だしなみに不潔感がある・声が大きすぎる小さすぎるなど)
また「自己肯定感が低い」ことは、一見仕事と関係なさそうですが、「自信をなくしやすい性質」だと捉えると、「離職しやすい」とも言えます。ASDさんには「良いところを積極的に伝える」ことはまず必要ですし、「改善して欲しいと周囲が思っていることをポジティブに伝える」ことの必要性がご理解いただけますでしょうか。